グリーフケア

グリーフケア~悲嘆の援助

重要な愛着の対象を喪失する時、人は強い失望感を抱き、衝撃、不安、孤独を伴う深い悲しみに見舞われます。特に死別とは対象との絶対的な別離ですから、もう会えない喪失対象を思い出し恋しく思う「思慕」、先だった人に「負い目」を感じつつ、もう一方では何とか現実を生き延びる覚悟を整えようとしています。この二つが併存する不安定な心身反応を「悲嘆(グリーフ)といいます。死別経験者は不運を嘆き無能感、疎外感、うつ状態、焦燥、自責を味わいます。外界との接触が煩わしく避難の意味で引きこもりを好みがちです。しかしその一方で現状を改善しようと意識し頑張ろうと努力を続けます。これまでの生活習慣に何とか戻ろうと試みるのですが“張りのない生活”に圧倒されがちです。努力しようとする気持ちと期待する成果のギャップに未来への不確かさが加わり二次的なストレスとなります。睡眠障害・食欲低下など健康とは言い難い身体の違和感を覚えます。加えて鬱的な不調とも関連するとらえどころのない時に強く長い不安を抱きます。

動きについては初期は1日の中でも変わる日内変動です。特に子供は日内の変化を起こしやすいですが大人にも合わせた多く見られます。やがて時間の経過とともに週単位、月単位の変化と変わっていきます。

グリーフケア~悲嘆の援助とは

 

悲嘆は人間の正常な生活の一環です。しかし核家族社会に暮らす日本人にとって、今や死別はごくまれなライフイベントの一つであるため、身にしみいる課題として考える機会は減っています。未経験であるために、家族や親しい人の援助や助言を必要とする事が多いのですが、そのような豊かな人間関係が社会から消え失せつつあるのが問題です。

夫と死別した筆者の経験を思い返すと結婚後は文字通り核家族を築いてきました。しかし夫の闘病期や死別後には、縁遠かった親戚の絆と温かさをあらためてほのぼのと感じる機会が持てました。特に、葬儀などの宗教行事に集まった親戚の輪を見た時、自分も夫も独りで生きてきたわけではないと実感しました。

それでも死別後の交友関係をあらためて見回すと、新しく知り合いになった人々に置き換わっていきます。生活を再建するために、生きる意味を再発見する過程で作り上げた新しい人間関係といえるようです。

人はどこかで互いに支えあって生きています。形式に流れているとはいえ、宗教の意味を再発見し、日本の伝統的な知恵を見直すことができたなら、宗教行事や信仰心が悲嘆回復のきっかけとなることもあります。ひいてはそれらが人々の信頼感に支えられて、回復への軌跡の方針を与えてくれるでしょう。

悲嘆は生涯続きますので、適切な時期にじっくり操り言を傾聴してくれる人、必要な買い物をしてくれる人など、死別者のサポートをしてくれる人の存在は大変心強いものです。これらの援助を悲嘆の援助といいます。

 

グリーフケアアドバイザー

あさがお自費看護

https://asagao-tokyo.net

 

 

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グリーフケアの広がり

 

日本では、公的機関や病院、宗教団体の組織が行う制度化されたグリーフケアは確立されていません。しかし、遺族が生前に触れ合う機会が多く気心の知れた医療者に援助を担ってほしいという要望が強くなってきています。欧米ではその要望がホスピスでした。また、日本でも介護施設にターミナル加算が認められたのも、この流れに沿っています。

先進国では人がどのように死を迎えたいか、個人の意思が尊重される方向に進みつつあり、オランダ、スイス、ベルギー、ルクセンブルグなどでは安楽死が法的に承認されたました。また、アメリカでは、もはや治療の期待出来ない人に治療的な目的で医療を継続する行為は「医学的無益」と呼ばれ、倫理的に避難されるべきとの意見が強くなりつつあります。

このような生きる意味の解釈・医療への具体的な提言は、グリーフケアを含めた死生学についての考え方が充実していない限り、深まりません。そこで、医療者であり、死を看取る専門職として、看護師の先駆的な取り組みが期待されるのです。

 

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日本と韓国との悲嘆表現の違い

韓国では、大きな事故がテレビで放映されているシーンを見ますと、遺族の悲嘆の表出態度には、日本のそれとの大きな差が見られます。韓国人女性はまさしく「号泣」します。地面に伏し、ひざまずき、顔を覆うこともなく、抗義と怒りの感情あらわにします。日本人は、このような感情の表出・解放はほとんど行いません。「恥の文化」と呼ばれるゆえんなのでしょう。

2009年11月14日に起きた釜山の射撃場の火災事故でも、以下のように日本人遺族たちは冷静に対応したと報道されています。

「遺族らは大きな声で泣き叫ぶような姿はみせず、悲しみをかみしめた。突然家族を失った辛さは非常に大きいに違いないが、ただひたすら現実に耐えている。しかし怒りを忘れたわけではなく、何度かその怒りを激しくぶつけることもあった。それでも直接には落ち着きを取り戻していた。

中国大陸で暮らした経験のある人によると、中国人、朝鮮人の葬儀では”泣き女”を依頼する習慣がみられたそうです。特に親族でもない、いわば葬儀の時だけ報酬をもらうパートタイマーが存在し、葬儀に加わり、親族とともに泣くのだそうです。前世紀初めの中国を舞台にした大河小説「大地」には確かに”泣き女”を雇いあげる風習が描写されています。

このように日本と近隣国では、悲嘆の対処は異なっているようです。この違いもまた、日本人の悲嘆が長引く一要因なのかもしれません。最近の心理学者の研究では、「死者との絆を保つこと、回復過程での感情表出は推奨されるべき」との意見が強くなっています。

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